2010年9月アーカイブ

コレラは、コレラ菌に汚染された水や食物を摂取することによって感染する病気です。下痢とそれに伴う脱水症状が主症状であり、軽症で済む場合も多いのですが、体力の弱い高齢者や乳幼児などは重症化して死亡するケースもあるので依然として注意すべき感染症です。

上下水道が完備し衛生環境の良い我が国での国内発生は少ないですが、世界では毎年数十万人の患者が発生していると言われています。


○コレラの定義

コレラ菌は細胞壁表面の抗原により200種類以上の血清型に分類されていますが、その中でコレラ毒素を産生するのは、O1型もしくはO139型のコレラ菌です。WHOの報告基準では、コレラ毒素を産生するO1血清型コレラ菌およびO139血清型コレラ菌によるものがコレラと定義されており、わが国でも同じ定義が用いられています。また、O1型コレラ菌は生物学的特徴の違いからアジア型(古典型)とエルトール型の2種類に分類されています。

○世界におけるコレラの流行

コレラはもともとインドのガンジス河下流の風土病であったものが、交通の発達にともない世界各地に拡がったと考えられています。記録上、コレラは過去に7回の世界的流行(コレラ・パンデミック)を起こしています。

第1次パンデミック(1817〜1824)から第6次パンデミック(1899〜1923)までは、すべてインドのベンガル地方から拡大し、原因となったのはO1血清型の古典型(アジア型)コレラ菌でした。

1961年にインドネシアのセレベス島に端を発した第7次パンデミックは、O1血清型のエルトール型コレラ菌が原因です。この流行は現在でも世界中に広がり終息する気配はありません。

また、1992年にはインド南部のマドラス(現チェンナイ)からO139型コレラ菌による流行が発生しました。以来、O139型コレラ菌はインドとバングラディッシュで散発的な地域的流行を繰り返していますが、世界規模での流行は起こっていません。

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近年は水害を受けた地域や上下水道の不備な地域で大規模な流行が発生しています。

コレラで352人死亡 ナイジェリア、6千人感染
パキスタン洪水でコレラ拡大か 被災地で患者確認
ジンバブエ、コレラによる死者が1500人以上に

○日本におけるコレラの流行

日本でのコレラ発生は、第1次コレラ・パンデミックが日本へ及んだ1822年が最初です。その後、上下水道の整備される1920年代ごろまで、数万から数十万の患者が発生する流行を何回か繰り返しました。

現在、我が国におけるコレラは、海外で感染し国内に帰国してから発症した輸入感染症例が多いと言われていますが、汚染された輸入魚介類から感染したとみられる国内発生例の報告もあります。

ニュースBOX:県内の60代男性がコレラ感染 /茨城

また、国内でも時に集団発生が認められています。有名なのは1977年に和歌山県で起こった集団発生です。東南アジア方面のコレラ汚染地帯からの帰国者が感染源と推測されており、この時は1名が死亡し、患者は最終的に101名に上りました。その後も現在に至るまで、日本各地で集団発生が散発的に報告されているという状況です。

常日頃利用する飲食店での食中毒により感染するケースも多いことを考えると、大流行こそないものの日本においても無視できない感染症であると言えるでしょう。

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水害がもたらす疫病

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今夏は世界各地で異常気象が目立ちます。
日本やロシアのように猛暑に見舞われた地域がある一方で、豪雨・水害がもたらされた地域もあります。

被災者1500万人超える パキスタン洪水で国連
中国で洪水被害広がる-甘粛省の土石流災害で死者127人

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洪水による被害というのは、河川の氾濫や土石流などによる直接的被害だけではありません。
その後の衛生環境の悪化による健康被害も深刻な問題です。



 13日、パキスタン北西部ナウシェラの仮設病院で、不衛生な水による感染症の治療を受ける患者ら(AP=共同)

 【イスラマバード共同】パキスタンの洪水で、国連の緊急援助当局者は14日、北西部の被災地でコレラの感染が確認されたことを明らかにした。重症の下痢疾患とみられるケースも約3万6千人に確認されており、感染拡大が懸念されている。

 当局者によると、感染が確認されたのは北西部カイバル・パクトゥンクワ州スワト地区の患者。当局者は「時間と費用を無駄にしないため、コレラ感染をすべて確認することはせず、治療に重点を置いている。重症の下痢疾患の患者もコレラとみなして治療している」と話した。

 コレラは汚染された水や食べ物を摂取することで感染し、激しい下痢と脱水症状を引き起こす。洪水被災地では衛生状態が悪化、感染が懸念されていた。

 また国連は13日、緊急支援のための資金拠出を国際社会に要請するアピールをあらためて発表。国連は4億5970万ドル(約400億円)の拠出を求めているが、これまでに確保された額は1億2480万ドルで、約27%にとどまっているとしている。

2010/08/14 19:24   【共同通信】


猛暑も干ばつも豪雨も、熱塩循環の異常による気候変動が原因です。
今年は猛暑でしたが、来年の夏には日本でも豪雨や洪水に見舞われるかもしれません。
また、洪水後に流行する感染症というのは、水質汚染によるところが大きいものです。
ですから、上下水道が破壊され飲料水や下水用の水に事欠く震災後の状況にも共通する部分があります。
つまり日本でも洪水や震災による被害によって上記のような感染症が問題になる可能性があるのです。

そこで今後、「水害の後に注意すべき感染症」について順次ブログで取り上げていきたいと思います。


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